〈巻一・一 愚人塩食喩〉
おはなし
ここは、とある大金持ちの家です。お昼時になったので、主人が食事をとっています。しかし主人はこの日の昼食に不満な様子です。
「今日の料理は味がうすいな……おーい、塩もってこい!」
使用人に塩を持ってこさせました。その塩をかけて口にしたらニッコリ。
「うん、これでうまくなった」
この様子を見ていた人がいました。
「そうか、塩って少しでもおいしいのか。たくさんあればもっとおいしいんだろうな」
と思い、塩だけを口いっぱいほおばりました。
「なんじゃこりゃー!」
おしえ
「食べ過ぎに気をつけて小食でいれば、正しい道を得られる」と聞いた外道(仏教以外の教え)の人には、七日も十五日も断食の修行をするものがいます。しかし、そんな修行をしても、いたずらにお腹をすかせるだけで、悟りを開くのに役立ちません。料理は少しの塩でおいしくなるのに、おいしいと思って塩だけ食べるのと同じことです。
※お釈迦様は悟りを開く前、断食修行をしたことがあります。でも、正しい道を得るのに役立たないと感じて、断食をやめました。その後、禅定(瞑想修行)で悟りを開きました。
「ブッダの小ばなし超訳百喩経」法蔵館より
感想
乙部一族は、塩分過多なので気をつけます。さて、世間ではコロナ騒動で大変です。日本の緊急事態宣言は強制力が弱く「要請」であります。各自の意識に問いかけ我が事として向き合うように求められています。
笑ったり泣いたりすることは免疫を高めるそうなので、みんなでコロナを笑い飛ばし乗り切っていきましょう。(釋大信)