人間が人間らしく生きて来られたのは……

 親子の間で子どもに何か問題があると、その子にだけ問題があると考えてしまいますが、実際は親子の問題です。どんな環境でどんな育て方をしてきたかなど、上げればキリがないくらい様々な因があり、なにより親としての資質も問われているのに、自分を問わず立場の弱い子どもだけに問題を見てしまう。そんな偏った視点になっていませんか。

 立場を小さくされている弱者のことを小さき者と言います。学校のクラスで問題児がいたら全体の問題です。会社に問題が起こるとリストラされるのは、立場の弱い人々です。能力主義に陥ると、仕事がデキナイ人だけに問題があると考えてしまいますが、実際はその組織や社会にも能力を十分に発揮させない問題点があるはずです。

 コロナ禍で、高齢者、疾患がある者、福祉施設や病院にいる者、まもなく臨終を迎える者など、多くの小さき者がコロナに怯え苦しい生活を送っています。中には十分に面会できないまま臨終してしまう悲しい別離も多くありました。

 ウクライナでロシアによる侵略戦争が勃発し、父親を戦地に残して避難した母と子が、父と故郷を想って泣いています。

 悲しみを共感する、痛みを癒やす、子を育てる、老いた者を養う、弱者を救済することで人類は人間らしく発達してきました。

 社会が人間らしくあるために、小さき者が光になるのです。